憲法解釈は法的安定性を欠く

安倍首相は憲法改正をすることなく憲法解釈を変えることで、違憲性の高い集団的自衛権の行使のできる法律を成立させてしまった。かつて自民党推薦の憲法学者が「集団的自衛権の行使は違憲である」と述べたことで、多くの国民がこの法案の合憲性に疑うを持つようになった。そうして、国会前や全国各地での反対デモに発展していった。このときの憲法学者の発言を自民党幹部の高村氏が苦虫をつぶしたような表情で「学者は字面に拘泥する」と言い放った。学者が字面に拘泥するのは当たり前だと思う。私も字面に拘泥することがいいと思っていない。そして学者の意見が常に正しいとは思わない。人間は間違いを犯すものだからだ。しかし、今回の安保法案ついて確実に言えることは、他国に行って戦争することを可能にしたということだ。アメリカの要望があれば、どこへでも行って米軍の武力行使の協力を行うことができるのである。これが平和憲法の下で成立しようがないではないか。強引で抑制的ではない安倍さんは、今までの憲法解釈を180度展開して、これを可能にしてしまったのだ。憲法解釈をコロコロ変えることは法的安定性を著しく損なう。ということで、安倍政権が退陣して他の政権に移ったときに、また憲法解釈を変えることでこの法案が失効される可能性が大いにあるということだ。